「夏が来ました、ピケ帽子。僕も私もピケ帽子……」注 という懐かしい歌がある。
今、若い人たちの中で「ピケ」が布地の種類を表す言葉だということを知っている人は、少ないと思う。
試しに「ピケ」で検索すると、「ジェラートピケ」というファッションブランドが一番に出てくる。
時代も変わったものだなあと思った。
ピケは、コーデュロイに似た、畝のある生地だ。
原料を問わず,織物の表面の形態を表す名称。
刺し子繍されたの意のフランス語piquéに由来する。
本来のピケ織は,二重織の組織で,布面に横うねまたは菱形,横波形のある織物をいうが,一般には縦うねのあるベッドフォードコード織を呼ぶことが多い。
綿ピケは夏服に使われる。
ブリタニカ国際大百科事典
小学1年生の夏休み、ピケ帽子をかぶって、毎朝ラジオ体操をしに学校へ行ったことを思い出す。
帽子のゴムが、あせもだらけの顎の下に食い込んで、余計に暑苦しかった。

母は、洋裁が得意だった。
妹や私の着るものは、ほとんど母の手作りだった。
私は結婚して子どもができるまで、既製服というものを買ったことが無かった。
母は30年余り前に亡くなったが、その少し前まで、よそいきの服や冬のコートなどは母が作ってくれた。
今も、最後の作品となったコートが捨てられずに残してある。
小学生の頃、母が作ってくれた服で、一番好きだったのが、ピケを使った夏のワンピースだ。
身ごろが白いピケで、襟と袖とスカートの部分がクリーム色のポプリンでできていた。
大好きだったので、洗濯しては学校へ着て行った。
学生の時も、白と水色の縞が交互に入っているピケのワンピースを作ってくれた。
これも、とても気に入っていた。
今でもデパートの高級子供服売り場で、似たようなデザインのワンピースを見かけることがある。
そのたびに、母のことを思い出す。
注 作者については分かりませんでした。
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