昭和こぼれ話6 ピケ

Dressmaking 昭和こぼれ話

    
 「夏が来ました、ピケ帽子。僕も私もピケ帽子……」 という懐かしい歌がある。

今、若い人たちの中で「ピケ」が布地の種類を表す言葉だということを知っている人は、少ないと思う。

   

試しに「ピケ」で検索すると、「ジェラートピケ」というファッションブランドが一番に出てくる。

時代も変わったものだなあと思った。

ピケは、コーデュロイに似た、うねのある生地だ。
   

原料を問わず,織物の表面の形態を表す名称。

ぬいされたの意のフランス語piquéに由来する。

本来のピケ織は,二重織の組織で,布面に横うねまたは菱形,横波形のある織物をいうが,一般には縦うねのあるベッドフォードコード織を呼ぶことが多い。

綿ピケは夏服に使われる。

ブリタニカ国際大百科事典

   

 小学1年生の夏休み、ピケ帽子をかぶって、毎朝ラジオ体操をしに学校へ行ったことを思い出す。

帽子のゴムが、あせもだらけのあごの下に食い込んで、余計に暑苦しかった。
   

   

 母は、洋裁が得意だった。

妹や私の着るものは、ほとんど母の手作りだった。

私は結婚して子どもができるまで、既製服というものを買ったことが無かった。

母は30年余り前に亡くなったが、その少し前まで、よそいきの服や冬のコートなどは母が作ってくれた。

今も、最後の作品となったコートが捨てられずに残してある。

   

 小学生の頃、母が作ってくれた服で、一番好きだったのが、ピケを使った夏のワンピースだ。

身ごろが白いピケで、襟と袖とスカートの部分がクリーム色のポプリンでできていた。

大好きだったので、洗濯しては学校へ着て行った。
   

学生の時も、白と水色のしまが交互に入っているピケのワンピースを作ってくれた。

これも、とても気に入っていた。
   

 今でもデパートの高級子供服売り場で、似たようなデザインのワンピースを見かけることがある。

そのたびに、母のことを思い出す。
   
   

注 作者については分かりませんでした。

   

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