第99話 ポートジョッキーとトランジスタラジオ

Departure of a luxury liner思春期

トランジスタラジオで聞いた「ポートジョッキー」

ソニーのトランジスタラジオ

 ソニーの世界的な発明、「ウォークマン」が登場する20年ほど前、トランジスタラジオというものが世に出てきた。

それまでのラジオと違って、真空管の代わりにトランジスタが使われ、それによって、置き型ではなく、手のひらに収まる程度の携帯ラジオができたのだ。

   

 高校3年生の時に買ってもらい、毎晩布団に持ち込み、聞きながら寝た。今の子どもたちがスマホをベッドに持ち込んで寝るように。

ソニーの黒いラジオで、AMとFMが両方聞けた。FMはアンテナを伸ばして聞いた。イヤホンではなく、耳に押し当てて聞いていた。
   

radio

ラジオ関東「ポートジョッキー」

 そして、毎晩必ず聞いたのが「ポートジョッキー」だ。

ラジオ関東(現ラジオ日本(にっぽん))、11時20分からだった。

「……森永のエンジェルも羽を休めています……」みたいなナレーションが流れ、汽笛の音が聞こえる。
   

ビリー・ヴォーン楽団「浪路はるかに」

やがて、あの懐かしいビリー・ヴォーン楽団の「浪路はるかに」が流れ出す。

これが聞こえてくると、幸せ感に包まれた。ここから12時までが至福の時だった。

   

浪路はるかに(Sail Along Silvery Moon) ビリー・ヴォーン楽団

   

 この番組でさまざまな軽音楽を聴いた。
必ずしも流行りの歌を流すというのではなく、いい曲を選んで聞かせてくれる。
   

 プラターズの曲では「オンリー・ユー」や「煙が目にしみる」が有名だが、ここで聞いた「トワイライト・タイム」や「夕日に赤い帆」が好きだったし、プレスリーの歌もよく聞いた。

   

The Platters – Twilight Time プラターズ 「トワイライト・タイム」

   

ニニ・ロッソの「夜空のトランペット」も素敵だった。

   

サンレモ音楽祭

 印象に残っているのが、サンレモ音楽祭のことだ。

イタリアのサンレモで、1951年から毎年開かれているポピュラー音楽のコンクールで、注目されていた。

ここで優勝した曲はたいていヒットし、「ヴォラーレ」「チャオ・チャオ・バンビーナ」「アル・ディ・ラ」など、日本でも大ヒットした。

この話題もポートジョッキーで取り上げられていた。

   

ある年、優勝したのが弱冠16歳のジリオラ・チンクェッティの歌う「夢みる想い」
   

パーフェクト・ベスト

   
ノンノレター、ノンノレター」という可愛らしい声が耳に残っている。

彼女はもっと大人になってから、「雨」を歌い、これも大ヒットし、こっちの方が有名かもしれない。でも、あの「ノンノレター、ノンノレター」が懐かしい。

   

Gigliola Cinquetti – Non ho l’età ジリオラ・チンクェッティ「夢みる想い」

   

 トランジスタラジオで聞いたポートジョッキー。

今でもあのビリー・ヴォーン楽団の「浪路はるかに」を聞くと、涙が流れる。

   

ベスト・オブ・ビリー・ヴォーン

   

オンリー・ユー~プラターズ・ベスト・セレクション

   

コメント

  1. Charlotte より:

    ポートジョッキーをお聴きくださいましてありがとうございました。
    森純子さんと共に英語のDJを務めていた父ケン田島は去る2021年4月27日(火)に肝細胞癌でなくなりました。入院して1週間、それほど苦しまず、母に看取られて安らかに旅立ちました。

    • tamichat より:

      Charlotte さま

       お父様のご逝去のお知らせ、謹んで拝読いたしました。
      青春のひとときを豊かに楽しいものにしてくれたポートジョッキーは、私の心に折に触れては蘇ります。
      あの時間を懐かしく思い出しつつ、ご冥福をお祈りいたします。

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