第29話 おもらし再び

closing ceremony 学童期(関西編)

   
 入学して間もないころ、校外のお散歩で、おもらしをしたことを以前に描いたが、実はもう一回ある。

2年生の運動会のことだ。

   

 競技も終わり閉会式が始まった。

そのあたりからちょっとあやしいなと思っていたが、まあ大丈夫だろうと整列していた。

最後の校長先生のお話、(長いよ、早く終わって)と心の中で叫びながら耐えていたが、ついに限界が来た。

   

「えい、ままよ」と決意して、そのままそこに出してしまった。

みんな前を向いて立っているし、気がつかないだろうというポジティブな思考だった。
   

だれか気がついた子がいたようで、くすくすという忍び笑いが聞こえたが、素知そしらぬ顔でそのまま立っていた。

   

 式も無事ぶじに終わり、教室に戻った。

誰かが先生に、私のことを言いつけたが、先生はけげんな顔で「えっ?」と言ったきりで、なにもなかった。

よかった、と思った。

帰るころには乾いていた。

   

 1年生の頃のおもらしで、先生が家まで送ってくれたとき、母はこう言ったとのこと。

「うちの子はおしっこ近いんですから、授業中でもすぐ行かしてやってください」

   

一般的には、「ご迷惑をおかけしました。休み時間にちゃんと行くように言って聞かせます」

とかなんとか言うところだろうが、あたかもあなた達のケアが行き届かないからこうなるのよ、と言わんばかりである。
   

そして私に、「先生に言ってあるから、おしっこがしたくなったら、いつでも先生に言って行きなさい」と。

残念ながら、運動会の閉会式は授業中ではなく、言うタイミングがなかったのだ。

   

 今考えるに、そのころの学校での様子は、

ボーっとしていたり、のろかったり、おしっこをもらしたりと、からかわれたり、いじめられたりしそうなものだが、その覚えは全くない。

むしろ、先生も友だちも親切だった。

   
   

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