第56話 さくらんぼ大将~笛吹童子~赤胴鈴之助~少年探偵団……

Boy detective team 学童期(東京編)

    
 「緑の丘の赤い屋根、とんがり帽子の時計台、鐘が鳴りますキンコンカン、メイメイ子山羊もいてます……」注1
   

   

この懐かしい歌は「鐘の鳴る丘」というラジオドラマの主題歌だったらしいが、「さくらんぼ大将」と記憶がごっちゃになっている。
   

この歌と、「さくらんぼ大将!」という元気な男の子の声が重なっている。

でもこのドラマが放送されていたころは、私はまだ幼く、内容を聞いたのではなく、歌だけ聞こえてきたという感じだ。

   

   
   
   
 ラジオドラマを楽しみに聞き始めたのは「笛吹ふえふき童子どうじ」からだ。

ヒャラーリヒャラリコ、ヒャリーコヒャラレロ……」注2 と始まった。

これは漫画にもなっていて、漫画も読んだ。
   

   

 その次は「べに孔雀くじゃく」だった。

友だちと紅孔雀ごっこをしたことを覚えている。

私はこういう遊びをする時、たいてい正義の味方ではなく、盗賊などの悪者の役をやりたがった。

   

 テレビが各家庭にある時代ではなかったから、

今の子どもたちがテレビの番組を楽しみにするように、ラジオドラマを楽しみにしていた。

   
いろいろなものがあったが、記憶に残っているものに、

剣をとっては日本一に、夢は大きな少年剣士……がんばれ、強いぞ、ぼくらの仲間、赤胴鈴之助!注3 がある。

   

   

「あかどう、すずのすけだー!」というせいのいい名乗りから始まる。

臨海学校の最後の晩の出し物で「赤胴鈴之助」をやったのを覚えている。

そういえば、たしか吉永小百合さんが「さゆり」という女の子の役で出ていたように思う。

   

 一番楽しみにして聞いていたのが「少年探偵団」だ。
   

   

ぼ、ぼ、ぼくらは少年探偵団、勇気りんりん瑠璃るりの色……」注4

家の前で遊んでいて、母に、時間になったら教えてと頼んでおき、

5時半ぐらいだったか、急いで帰って聞いたものだ。

小林少年とその仲間が、明智あけち小五こごろう先生と行動を共にしていることが不思議だった。

この子たち、学校はどうなってるのかなあ……と。

   

怪人二十面相を追い詰めて、いつも最後のところで逃げられる。

ある時二十面相が、アドバルーンに乗って「ワッハッハ……」と空に消えていくというくだりがあった。

   

 当時デパートにはアドバルーンが上がっていたものだ。

また、学校の運動会が予定通りに行われますよ、という合図にアドバルーンが使われたこともある。

朝起きると母が「アドバルーンが上がってるわよ!」と声をかけてくれ、

運動会大好き少女だった私はワクワクした。

   
   

 さて、ラジオドラマは「連続ラジオ小説、下村湖人原作『次郎物語』」というのも印象に残っている。

    

 今でも時々思い出すセリフがある。

うろ覚えではあるが「子どもっていうのは、可愛がってやりさえすればいいのね」という母親の言葉だ。

歳を取ると、この言葉の意味が分かる。

そして時は流れ、テレビの時代になっていくのである。
   

注1「とんがり帽子」 作詞 菊田一夫
注2「笛吹童子」 作詞 北村寿夫
注3「赤胴鈴之助の歌」 作詞 藤島信人
注4「少年探偵団の歌」 作詞 壇上文雄

   

コメント

タイトルとURLをコピーしました