第93話 いいとこどりの部活

Ham Radio思春期

 高校に入ったばかりの時、友だちに「デンケンに入らない?」と言われた。

「デンケン?」

聞けば、「電気研究部」のことだった。

ドイツ語の「考える」=「denken デンケン」ともかけているそうだ。
   

この部に好きな上級生がいるとのことだった。へえ~?

でも電気はもっとも苦手な分野の一つ。全く興味がない。しかし熱心に頼まれたので、入ることにした。

   

 入ってみると全部男子で、女子は、同じクラスの私を含めた4人だけだった。

まず、受信機を作るという活動に参加した。設計図のようなものを見て、線をつないでいく。
   

半田ごて

   
友だちはきちんと理解してやっていたようだったが、私はよくわからないまま適当にやっていた。ただ、ハンダゴテを使って線を接続していくのが面白かった。

   

 並行して「ハム」の資格を取るための講義が行われた。講師は同期の男子だった。

「ハム」というのは当時人気があったアマチュア無線家のことで、無線を使って通信するためのアマチュア無線技士の試験を、私たちに受けさせようというのだった。

男子たちはみなこの資格を持っていた。

   

「ハロー,CQ,CQ……、こちらJA1Y○○,JA1Y○○,○○○…… 感度あったら応答願います」と呼びかけ、交信する。

かっこいいなあ、やってみたかった。

しかし試験のためのお勉強は全く頭に入らず、私を除く3人はみごと合格したが、私は自信が無くて受けなかった。

   

 電研もやめた。

ぶらぶらしていた秋のこと。

文化祭で、家庭科部が喫茶店をやるという話を聞いた。おもしろそうと思って、仲良しの友だちと一緒に入った。
   

「喫茶店」をやれば、上級生の彼が来てくれるだろうし、友だちも、他の高校に行った彼氏を呼ぶのだと言っていた。
   

ウェイトレス

   
   
みな熱心にケーキ作りなどをしていたが、チャランポランの私たち二人は、ろくに準備にも参加せず、当日だけウェイトレスの格好をして喫茶店をやった。

   

その上、文化祭で合唱部がコーラスをすると聞いていたので、この時だけ合唱部に入り、ちょこっと練習に参加して、ちゃっかり当日のコーラスに参加した。

   

合唱

    
   
 「ワシントンハイツ」でも書いたが、高校生になっても、こんな風に、いろいろな部のいいとこどりをして終わったらやめる、を繰り返していた。

もっとも非難されるようなことを、平気でやっていたのだ。どういう神経だったんだろう。

   

 極めつけが、社会科部だ。

一番つまらなそうな部だが、学年末のまとめとして旅行をすると聞き、これは見逃せないと思った。

同級の社会科部の男子に「入っていい?」と聞くと、「いいですよ」と少しオタク気味の男子が言ってくれた。

   

 旅行の目的は伊豆巡り。
   

韮山反射炉と江川 英龍の銅像
韮山反射炉と江川英龍像

   
下田でペリー来航に関する資料を見たり、唐人お吉の話を聞いたり、修善寺に行ったり、韮山にらやまの反射炉を見たりした。

少人数だったこともあり、それまでに経験した旅行のなかで、一番楽しい旅だった。
   

 このように、地道な活動は無理で、楽しいところだけ味わうという部活のやり方を、とがめられるような環境ではなかった。私にとってはとてもよかった。

   

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