第104話 月山その1 25キロの荷物を背負って初登山

gassan 青年期

 
 7月に、山形県の月山がっさんに登り、雪渓せっけいでスキーの練習をする、という合宿が行われた。

スキー技術は、まだよちよち歩きの女子5人(同期の女子は5人残った)も行かされた。

   

 夜行で上野を出発し、山形に向かった。

当時、大学の体育会の合宿は、だいたい夜行で出発するのが習わしだった。

他の大学とも一緒になるので、席をとるために早くから並ぶ。

並ぶのは1年生の役目だったが、女子は免除された。

   

 「やまがた~やまがた~」

早朝の山形駅に着く。

そこから乗り換えてざわへ。

さらに童話の中に出てくるような列車で岩根沢へ。

岩根沢からは、営林署の軽トラックとワゴン車に分乗して、登山口へ向かう。

   

 私たち女子は、本格的な登山は初めてだった。

米7キロも入った重いザックの上に、スキーを横に渡して括り付け、全部で25キロくらいの荷物を背負って、いよいよ山登り開始。

   

先頭は、2年生の男子の一人が指名された。

「つぎ、おんなのご!」とキャプテン。

キャプテンは仙台の人で、お国言葉をそのまま話す人だった。

「つぎ、1年男子! あとはバカ!」

バカとは、40キロ以上の荷物を背負って上がる男子部員のことだ。

   

 初めの一歩から、腰がズキっと痛い。

他の女の子も痛いと言ったので、痛いのが当たり前なのかと思った。

   

ヒーヒーハーハー、歩きつつ、足元に可愛いスミレが咲いているのを見つけた。
   

   

山路やまじ来て 何やらゆかし すみれ草 

   

芭蕉っていいなあ。

   

「沢の音が聞こえるぞー」と男子が言う。

耳を澄ますと、サラサラという涼やかな音が聞こえた。
   

川辺に着いた。そこで昼ご飯。

しゃがんだまま、うたたねした。

   

 登山は続く。

   

難行苦行の末、左右から覆いかぶさってくる木の葉をかき分けて進むと、突然開けたその眼前に、小屋が見えた。

感動!

私たちの宿舎となる営林署の小屋だ。

   

ここで、10日間ほどの合宿が始まる。

この合宿で、貴重な体験がさまざまあった。それは次に書きます。

to be continued……
   

磐梯朝日国立公園 月山ビジターセンター「登山トレッキングコース」
https://gassan.jp/gassan-info/tozan/

   

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