平泳ぎのコツ
中学生になったとき、泳げなかった。
泳げない人は、ほんの数人だった。
今は小学校でプールの授業が熱心に行われ、たいていの子どもは小学生のうちに泳げるようになるようだが。
夏休みに、クラスの泳げない友だちと一緒に、スイミングスクールの1週間の講習を受けることにした。
女の先生で、とても丁寧に親切に教えてくれた。
ここで平泳ぎを基本からきちんと教わった。
目からうろこだったのは、手で掻くのと、足で後ろに蹴るのを同時にやるのかと思っていたのが、
そうではなく、
足で後ろに蹴ったとき、手は前に伸ばして体が一直線になる瞬間があるということだった。
先生はこの一直線になる時間を長くとるように教えてくれた。
おかげで平泳ぎのコツを習得し、ちゃんと泳げるようになった。
初めてプロに習った経験だ。
自動車運転免許
もう一つは運転免許を取ったときだ。
すでに仕事をしていたので、自動車学校に通うとなると、朝早く起きて仕事の前に行ったり、仕事が終わった後で行かなくてはならない。
それはとても負担に感じた。
それで、運転は夫から習うことになった。
仕事が終わった後、毎日のように自動車学校の貸しコースで教えてもらったのだが、夫の教え方が、なんかわかりにくく、けんかしながら練習した。
50年ほど前のことだ。
それでも仮免までは順調に進んだ。
段ボールで作った「仮免許練習中」の札をつけ、夫が隣に座り、いろいろなところを運転した。
そうして路上の訓練はかなりやったのだ。
しかし本免の試験になかなか合格しなかった。
車を走らせることにはずいぶん慣れたのだが、車庫入れ(方向転換)だけが、どうしてもうまくいかなかった。
夫の教え方は、だいたいこのぐらい寄せてから反対にハンドルを切って、みたいなもので、感覚がつかめなかった。
自動車学校に行かなかったので、実技の試験はすべて試験場で受けた。
3回落ちて、もう永久に受からないだろうと、あきらめかけていた4回目。
試験の直前に、試験場の近くで「個人レッスンします」という看板を見つけ、受けてみることにした。
そこは試験場に隣接しており、使わなくなった練習コースを利用しているようで、車は試験場のものと同じタイプだった。
教えてくれた人は、おじいさんではない程度の年配の人で、試験場の試験官の雰囲気に似ていた。
後に職場の人に聞くと、それはおそらく試験場の試験官をしていた人が、定年後にやっているんだろうとのことだったが、正確なところは分からない。
とても親切に教えてくれた。
車庫を左に見て、車を少しずつ前に出し、後ろの三角窓が支柱のところに来たら、ハンドルを切る、
という具合に、目印をはっきりさせて、ポイントを具体的に教えてくれ、同じことを何回も練習した。
いざ試験に臨み、教わった通りにやったら見事合格。
そのときの嬉しさは忘れられない。
やっぱりこういうものは、習うならプロだなあと実感した。
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