第42話 浦島太郎とハーモニカ

urashima taro学童期(東京編)

 4年生の学芸会の出し物は「浦島太郎」だった。

乙姫様の役に当たるわけがないと思っていたが、思った通り、学年で一番かわいいと評判の髪の長い女の子になった。

   

結局私は、舞台の袖で、ハーモニカでBGMを演奏するグループの一人となった。

初め、乙姫様でなくても、何か魚の役でもいいから舞台に出たいなあと思っていた。

お客さんからは全然見えないところでハーモニカを吹くなんて、損な役回りだと思っていた。

   

 学芸会当日、浦島太郎の役は、学年でも有名な芸達者の男の子で、本当に見事な演技だった。

最後に玉手箱をあけてしまい、瞬く間におじいさんになるところの演技は素晴らしく、大喝采だいかっさいのうちに幕が下りた。

   

とその瞬間、先生がまっしぐらに私たちハーモニカ隊のところにすっ飛んできたのだ。

そして、「ハーモニカ、すごくよかったよー。音がきれいだった。まるでバイオリンみたいに聞こえたよ!」と大絶賛してくれたのである。
   

私たちハーモニカ隊は大喜びだった。うれしくてたまらなかった。ハーモニカ隊でよかった、と心から思った。

   

喜ぶ子どもたち

   

 先生は縁の下の力持ちのような私たちのことを、ちゃんと心に留めていたのだ。
そして真っ先に褒めてくれた。

この時の嬉しさは忘れられない。

   

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