大学の新学期。
部活が新入生の勧誘合戦をするのは、今も昔も変わらないようだ。
友だちと一緒に回って歩いた。
写真部がいいかな、テニス部がいいかな、などと考えていたが、写真機やラケットを買う必要がある。
親に「買って」とは言いにくかったので、道具を持っているスキー部はどうかなと思った。
友だちもスキー部に関心があったので、部室を訪問した。
部室のある建物の前で、スキーのストックワークをしている男子学生が、チャラい感じだった。
ちょっと嫌だなと思ったが、友だちは乗り気だったので入ってみた。
他に同期の女子が4~5人いた。
まず、トレーニングということで、走らされた。
短距離はいいが、長距離を走るのは大の苦手で、息が上がるし横っ腹が痛くなる。
すぐ「無理」と思ったが、他の女の子たちも似たようなものだったので、「ま、いいか」と思った。
5月だったと思うが、よみうりランド 注 に滑りに行くという。
雪ではなく、ブラシを敷き詰めた人工スキー場だ。
よみうりランドへの道は、坂になっていた。
そこを、スキーを担いで登るのが、これまたしんどくて、やはり「無理」と感じた。
ブラシのスキー場は、隣がジャンプ台になっていた。
スロープを見ると異様な感じがして、滑ってみると、なんか滑りにくいし怖いしで、おっかなびっくり滑った。
他の女の子たちも同じようなものだったので、そこは気が楽だったのだが。
ついに、思い切り転んだ。
バツッ!
ジーンズのお尻のところが、縦に真っ二つに裂けた。
なんでこうなるの?
ああ嫌になっちゃう。
幸い、上級生の女子で、替えのエラスティックパンツ(伸縮性のあるスキー用ズボン)を持ってきていた人がいて、それを借りることができたが。
やれやれ、スキー部は続きそうもないなと思った。
しかし、どうしたことか?
中学校、高校を通じて部活が全く続かなかったのに、なんと、ここからスキーに明け暮れる生活が始まったのだ。
なぜなのかは、わからない。
成長が遅かっただけなのかもしれないが、思い返してみると、確かに楽しかったのだ。
注 三井住友トラスト不動産 「よみうりランド」の歴史
https://smtrc.jp/town-archives/city/shinyurigaoka/p05.html
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