高校生になった当初は、どんな授業をするのかなと多少期待があったが、すぐ興味がなくなった。
授業がつまらなかったからと理由づけしていたが、今冷静に考えてみると、難しくなったからではないかと思う。
特に数学は自分が休んでいる間に「log」という概念が出現していて、なんのこと?
とさっぱりわからなくて、そこからもうめんどくさくなってしまった。
論理が何段構えにもなって複雑になると、追えなくなってしまう。
音楽や体育のように感覚で直接とらえられるものはいいのだが、論理的に頭に入れていくのは、どうやら不得手のようだ。
その中で、世界史の授業はとてもおもしろかった。
独特な個性のある先生で、両腕を開いて教卓の上に手をつき、顔は机の上に置いた資料を見たまま、1時間ずっとしゃべり続ける。
汗をだらだら垂らし、顔を真っ赤にして。
時々後ろを向いて黒板に板書をする以外は、ところどころにおもしろいエピソードを加えながら、しゃべり続けた。
それは頭によく入った。ノートも取りやすかった。
しかし、大半の授業は興味が持てなかったので勉強はあきらめようと思い、もっぱら映画や軽音楽、異性への関心に気持ちを向けた。
母が、私が15歳になっても色気がないことを気にしてか、「パーマをかけたら?」と勧めてくれた。
それで初めてパーマをかけた。
また、私服で出かけるときはヒールのある靴をはきなさい、と少しかかとの高い靴を買ってくれた。
勉強から色気の方へと方向転換したのだ。
これで、周りの友だちのように、こつこつ勉強して身を立てるという道からは完全に離れた。
よかったとか悪かったとかではなく、これが私の自然な姿だったんだと思う。
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