子どもの頃、オート三輪がよく走っていた。
八百屋さんが野菜を積んで売りに来た車も、オート三輪だった。
それを小さくしたのが、ミゼットという名の軽オート三輪だ。
子どもの目からは、なんか危なっかしい車だなあという印象だったが、とても働き者だったようだ。
そういえば、最近オート三輪を見なくなったなあ。
小さいときに見慣れていたオート三輪は、自転車のようなハンドルだったと記憶しているが、途中から普通の丸いハンドルになった。
小学生の頃、うちのお向かいの家では、お父さんが出勤するとき、会社から車が迎えに来ていた。
立派な車だった。
「すごいなあ」と思っていた。
その当時、自家用車を持っている家庭は、とても少なかった。
中学生になり、うちでも会社からお迎えが来るようになった。
そのときの車が、スバル360だった。
それを初めて見たとき、
「えっ? ちっちゃい」と思った。
大人の男の人が乗ると、ずいぶん窮屈そうに見えた。
後ろのデザインは、よく言えば、フォルクスワーゲンのようになっていた。
父は、スバル360は素晴らしいんだと言っていた。
たしかに、当時の画期的な軽自動車だったらしい。
でも、あまりにも可愛くて、お向かいのお迎えの車に比べると、ちょっと恥ずかしい気持ちがしたものだ。
私は結婚して、毎日車を運転する生活になった。
いろいろな車に乗ったが、今思い出すと、あのかわいらしいスバル360が懐かしい。
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