第19話 「えっ? 私って耳が遠いの?」

flower bed学童期(関西編)

 1年生の時は、学校が始まるぎりぎりに登校していた。

みなそうしているものだと思い込んでいた。

ところがある時、ふと気づいた。どうやらみんなは、学校が始まるかなり前に登校して、始まるまで校庭で遊んでいるようだと。

   

 ある日のこと、思い切って早目に登校してみた。

大勢の生徒たちが校庭で遊んでいる。自分のクラスの友達も見つけた。

   

 しかし、どういう手続きを踏んでその遊びの中に入っていくのか、それが問題だった。少し離れたところから見ていた。
   

校庭から階段で少し上がったところに校舎があるが、校舎とその階段の間の平らなところには、花壇や、金魚などが泳いでいる石造りの水槽があった。

その水槽のふちをてのひらでこすりながら、友だちが遊んでいるのを見ていた。

   

 しばらくすると、その友達の中の一人が、たしか、背が高くクラスのお姉さんのような人だったが、私のところに来て、誘ってくれた。

初め断ったが、少ししてから、やっぱり行ってみようかなと思って、近づいて行った。大繩のような遊びだったと思う。

   

 こんな風に、周囲のことに疎かった私は、授業中も、先生の話していることが、これから自分のすべきことなのだという理解をしておらず、他人事のように聞いていた。

さぞかし反応が鈍かったであろう。

   

 個人面談で、先生が母に「先生の話をよく聞いていない、的外れな行動をする」というようなことを言ったらしい。

すると母はこう言ったそうだ。

「あの子は耳が遠いんです。ですから席を一番前にしてやってください」と。

以来、私の席は一番前になった。隣はとても背が低い女の子だった。
   

 私は耳が遠いんだろうか? 知らなかったなあ、と思った。

   

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