第28話 怖いもの

scared学童期(関西編)

 怖いものランキングとして「じしん・かみなり・かじ・おやじ」は有名だが、子どもには一人一人、その子の怖いものがあるものだ。

私の場合、山猫、山犬、コンドルだった。

   

 母の里の周辺はそこここに、まだ自然がそのまま残っているようなところだった。

夜になると山犬が出るよ、などと大人たちが脅かす。山犬というものが、どのようなものなのか知らなかったが、とにかく怖いんだろうと思っていた。
   

たしかに、夜になると遠くの方から「ウォ~ン」という遠吠えが聞こえてくる。

きっとあれは山犬だろうと思った。

山犬は普通の犬より高く跳び上がれるから、2階の窓まで届くかもしれないよ、などとも脅された。ほんとに怖かった。

   

 そして、山猫。

これは、友だちが学校で噂していた。
夜、道を歩いていると、家の塀の上から山猫がとびかかってきたというものだ。

それも恐ろしい。

夜、母と道を歩くとき、左右の家の塀の上を確認しながら「大丈夫?」と言いつつ歩いた。母は面白がって「とびかかってくるかもしれないよ」などとからかった。

   

 コンドルは、そのころ読んだアラビアンナイトの漫画、シンドバッドの冒険に出てきた。

羊などを足でつかんで飛んでいく。獰猛どうもうな鳥として描かれていた。
   

 コンドルは南アメリカの方にすんでいるらしいが、もしかすると日本まで飛んでくるのではないか。それが心配でならなかった。

母に「コンドルが日本まで飛んでくると思う?」と聞いたりした。

母は「どうかね」と関心なさそうに返事した。

一人で「飛んで来たらどうしよう」と胸を痛めていた。

   

 私はそのころ音も怖がった。

妹が風船を胸に抱いて、手でギューッと押さえたりする。「パーン!」と割れるのではないかと、ビクビクした。

どうして小さい子は、平気でああいうことをするんだろうと思った。

    

 ここまで書いてきたようなことは、今では何とも思わない。

大人になると、怖いものが減るんだなあ。

   

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