第110話 競技スキー、同好会から部へ

Alpine Skiing 青年期

   
 スキー部は初め、同好会だった。

先輩たちは、ぜひ部に昇格させたいと考えていたようだ。

男子は、体育会の正式な部の部員になりたいと思うだろうし、予算もたくさんもらえる。

私たち女子には、どうでもいいことだったが。

   

 部として認めてもらうには競技をして試合をし、そこで実績を上げる必要がある。

そういうわけで私たちよちよち女子も、思ってもみなかった競技スキーをさせられることになった。

えー?! 無理でしょ。

   

 同期の女子は「同好会でいいのにねえ」「ただスキーを上手に滑れるようになりたいだけなのに」と不満だったが、

先輩女子は「ゲレンデでただ滑ってるだけじゃ、目的がなくてつまらないでしょ」と。

そうかなあ。

   

 しかたなく、1年目の冬の合宿からポールをくぐる練習などが始まった。

ポールをくぐってみると、意外に面白い。

いわゆるアルペン種目の回転だ。

ポールのセットにもいろいろなパターンがあり、それを覚えさせられたり、

学年が上がるにしたがって、自分たちでポールをセットして練習することもあった。
   

   

女子も、簡単なコースだけど、いっちょまえに、回転、大回転、滑降をやり、いくつかの大学と試合もした。

大回転、滑降ではヘルメットをかぶった。

   

 こういうことが、だんだん面白くなった。

急斜面が怖くなくなった。

先輩が言った通り、目的があったほうが、モチベーションがあがり、楽しいことがわかった。

   

 また、体育会主催のマラソン大会があり、ここでも実績をあげる必要があった。

長距離走は大の苦手だった私が、2年生のときのマラソン大会で4位になった。

これは自分としては快挙だった。

   

 そして、めでたく、スキー同好会はスキー部に昇格した。

あんなに部活がチャランポランだった私が、熱心にスキー部を続けていることに、高校時代の友だちが驚いていた。

「まだ続けてるの?よく続くわねえ」と会うたびに言われたものだ。

   

コメント

タイトルとURLをコピーしました