第47話 お便所に落ちるという話

Stacked toilet paper学童期(東京編)

 当時、お便所に落ちたという話が、ちょくちょく聞かれた。

もちろん、そのころのトイレと言えば、和式でくみ取り便所、いわゆるボットン便所だ。

   

 父の実家の隣に、私より一つ年下の女の子がいて、その子が小さいとき、お便所に落ちたという話を聞いた。

えっ! あんなところに落ちるなんて、なんて怖いことと思った。

   

お母さんがみ取り口から入り、すくい上げたという。

洗っても洗っても、なかなか臭いが抜けなかったのよ、と笑い話のように話していた。

当の本人は、そのことを覚えていないらしかった。覚えていなくてよかったよねと思った。

   

 小さいころは、お便所と言えばしゃがんでやるもの、すみには箱が置いてあり、中にチリ紙が入っていた。

今のティッシュのように薄くて柔らかいものとはほど遠く、グレーがかった、少しざらざらして、しわしわしたような紙だ。

   

 便器のわきの床に、おしっこを引っかけるということがよく問題になった。

私は引っかける方だった。

引っかけないようにしなさいと言われたが、どうすれば引っかけないで済むのかが分からなかった。

   

 父方の祖母は洋式便器を使っていたが、水洗ではなかった。このように、便器は洋式だがボットン便所、というのもあったのだ。

   

 水洗便所が一般家庭に普及したのは、かなり後のことである。

今は、洋式便器で水洗がほぼ当たり前で、ウォシュレットなるものも、かなり普通になっている。文明の進み具合と、トイレの進化は比例しているようだ。

   

注 国土交通省 下水道資料室「普及率等の推移」
https://www.mlit.go.jp/crd/city/sewerage/data/fukyuritu.html

  東京都下水道局「数字でみる東京の下水道」
https://www.gesui.metro.tokyo.lg.jp/business/kanko/kankou/2014tokyo/05/index.html

   

   

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