第38話 足じゃんけんと手まり歌

showa scenery 学童期(東京編)

足じゃんけん

 そのころ流行っていた遊びに、足でじゃんけんするものがあった。

足を左右に開くと「パー」

前後に開くと「チョキ」

閉じると「グー」だ。

今でも同じ遊びがあるかもしれないが、どんな掛け声でそれをするかは違っていると思う。

   

当時、

パーは「ハワイ」

チョキは「ちんぼつ」

グーは「ぐんかん」だった。
   

ぐんかん、ぐんかん、ハワイ

ハワイ、ハワイ、ちんぼつ

などと、掛け声をかけながらする。

   

 いつものようにそれをしていると、「それ言っちゃいけないんだよ」と友だちに注意された。

先生が禁止したという。

「どうして?」と、その理由は全く分からなかった。
   

「パールハーバー」のことや

この掛け声が不謹慎であることは、後に知った。

   

手まり歌

 ほかにも、手まり歌として次のようなものがあった。

   

一列談判破裂して

日露戦争始まった

さっさと逃げるはロシアの兵

死んでも尽くすは日本の兵

御門の兵を引き連れて

6人残して皆殺し

七月八日の戦いに

ハルピンまでも攻め寄せて

クロバトキンの首を取り

東郷大将万々歳

錦の旗も万々歳

    

ボールと女の子

   

今歌ってみれば、とんでもない歌である。

これも学校で禁止された。

   

その代わりに

1は何だったか忘れたが

2は「にいたかドロップ美味しいな

3は「3月3日はひなまつり」……

と超無難な歌詞で歌うように教えられた。
   

私たちは、この歌はつまらないね、一列談判破裂してのほうが面白いね、と言いながら、まりつきをしたものだ。

   

 戦後8~9年ほどたっていたと思うが、まだ生活の端々に、戦争や軍国主義の名残が見られた時代である。

子どもは、その意味をよく知らなかった。

それも考えてみれば怖いことだ。
   
   

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