番外編1 手塚治虫

balloons 番外編

   

 うちにまだテレビがなかったころ、友だちの家に遊びに行き、そこで「鉄腕アトム」を見せてもらっていた。

手塚治虫の偉大さは、まだ知らなかった。

   

 あるとき、学級文庫になぜか手塚治虫の「リボンの騎士」があった。

読んでみると、絵もかわいいし面白くて面白くて、どんどん引き込まれた。

それは途中で終わっていた。

まだ続きがあるのだ。
   

続きをどうやって手に入れたらいいんだろう?

世の中のことをほとんどわかっていなかった私は、そういうときにどうしたらいいのかわからないまま、あの続きが読みたいと思い続けるだけだった。

   

 大人になり、手塚治虫の作品にたくさん巡り合えた。

きっかけは、夫が買ってきた「COM」という雑誌だ。

そこに「火の鳥」が掲載され、なんておもしろい漫画だろうと、たちまち取りつかれた。
   

漫画を読む女性

   

彼の漫画はどんなにシリアスなテーマを扱っていても、ユーモラスなキャラクターが登場したり、ところどころに、ちょっとしたおふざけのようなコマが入っている。

そのセンスがまた天才的だと思う。

   

 「ブラック・ジャック」はあまりにも有名だが、

そのほかに「人間昆虫記」「アドルフに告ぐ」「シュマリ」「奇子」「ファウスト」「ブッダ」などなどに夢中になる中で、

ある日、古本屋の棚に「リボンの騎士」を見つけた。
   

古~いハードカバーの物と、その続きの単行本とだ。

「ここにあった!」と胸ときめかせそれらを買い求め、懐かしく読みふけった。

   

 しかしなんといっても「火の鳥」だろう。

あたかも現代のこの状況と行く末を予言するかのような作品だ。

彼がこの世にいたら、この「コロナ」のことをどう表現するだろうか。
   

火の鳥 オリジナル大判サイズ

   

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