高校2年生のときだった。
マリリン・モンローが亡くなったというニュースが、世界を駆け巡った。
マリリン・モンローと言えば、今や伝説の女優となっている。
地下鉄の通風口からの風に、スカートを吹き上げられる写真が有名だ。
彼女の映画は、ほとんど見ていない。
劇場では、小学生の頃、父につきあって「王子と踊子」という映画を見ただけだ。
「王子と踊子」と聞いて、初め、御伽噺なのかと思っていたのに全然違った。
主演らしき女性がマリリン・モンローだとも知らず、その上、幼い目からは彼女が美人には見えなかった。
歩いて行く後姿が印象に残っている。
そういえば、父と母が「ナイアガラ」という映画の話をしていたことを思い出す。
話を聞いていて面白そうだなあと思ったが、それがマリリン・モンローの映画だとは知らなかった。
高校を通じてずっと仲良くしていた友だちが、大の映画好きだった。
その点で意気投合し、しょっちゅう映画の話をしていた。
彼女はマリリン・モンローの大ファンで、その美しさを称えていたが、私にはピンとこなかった。
私は、オードリー・ヘプバーンが素敵だとか、ヴィヴィアン・リーがきれいだなあとか思っていた。
その友だちは、男優ではクラーク・ゲーブルが大好きだと言っていた。
私はジェームズ・ディーンが大好きだった。
クラーク・ゲーブルが好きな気持ちが分からなかったし、友だちは、ジェームズ・ディーンのどこがいいの? という風だった。
大人になり、テレビで「荒馬と女」という映画を見た。
主演は奇しくもマリリン・モンローとクラーク・ゲーブル。
そこで初めてマリリンの素晴らしさに心を打たれた。
セクシーであることはもちろんだが、偽りのない可愛らしさ、優しさ、温かさにあふれていた。
女の私が抱きしめたくなるような感じだった。
こんな女優さんは、二度と現れないだろうなと思った。
友だちは高校生の時から、これがわかっていたのか、ずいぶん早熟だったんだなあ。
あるいは自分の趣向が幼かったのかもしれない。
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