第101話 長崎の鐘

Urakami Cathedral Wall青年期

 妹はキリスト教系の中学に通っていた。母がピアノで伴奏して、讃美歌をよく一緒に歌っていた。
   

それが羨ましくて、大学は、キリスト教系で自分にも受かりそうなところ、というコンセプトで決めた。

高校を選択したときと同じく、高邁な目的意識はほとんどなかった。

   

 入学式は、立派な講堂ではなく、キャンパス内の野外イベント会場のようなところで行われた。下はコンクリートで、そこに舞台がしつらえてあった。

   

 入学式の内容はほとんど忘れたが、一つ、強く印象に残ったことがある。

スペイン人の神父が、「長崎の鐘」を歌ったことだ。
   

まるでオペラ歌手のような美声で歌い上げたのを聞き、感動してしまった。

これを聞いただけで、私の単純思考は「この大学に決めてよかった」という結論に至った。

   

「長崎の鐘」 藤山一郎

    

 思い返してみると、1960年代~1970年代は実に変化の大きい時代だったと思う。日本の高度成長の最盛期で、技術革新も急速に進んだ。

その変化を感じつつ並走するかのような、私の青年期が始まった。

   

 余談だが、入学式で「長崎の鐘」を聞いたとき、私はその背景についてまだ知らなかった。

それから20年余りして、永井隆氏の「長崎の鐘」「この子を残して」などを読み、感銘を受けた。

   

【無料】長崎の鐘

   
   
   
 また、隆氏のお嬢さんのかやさんが、ご自身の娘さんに伝えようと書いた、「娘よ、ここが長崎です」も読んだ。
   

ここには、茅野さんの目を通して描かれた隆氏の、男らしさと優しさが生き生きと表現され、私にはとても魅力的だった。

同時に、原爆がいかに恐ろしくて、決して使ってはいけないものだということが、子どもにもわかるように書かれている。読む価値のある本だと思う。
   

娘よ、ここが長崎です

   

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