妹はキリスト教系の中学に通っていた。
母がピアノで伴奏して、讃美歌をよく一緒に歌っていた。
それが羨ましくて、
大学は、キリスト教系で自分にも受かりそうなところ、というコンセプトで決めた。
高校を選択したときと同じく、高邁な目的意識はほとんどなかった。
入学式は、立派な講堂ではなく、キャンパス内の野外イベント会場のようなところで行われた。
下はコンクリートで、そこに舞台がしつらえてあった。
入学式の内容はほとんど忘れたが、一つ強く印象に残ったことがある。
スペイン人の神父が、「長崎の鐘」を歌ったことだ。
まるでオペラ歌手のような美声で歌い上げたのを聞き、感動してしまった。
これを聞いただけで、私の単純思考は「この大学に決めてよかった」という結論に至った。
思い返してみると、1960年代~1970年代は実に変化の大きい時代だったと思う。
日本の高度成長の最盛期で、技術革新も急速に進んだ。
その変化を感じつつ並走するかのような、私の青年期が始まった。
余談だが、入学式で「長崎の鐘」を聞いたとき、私はその背景についてまだ知らなかった。
それから20年余りして、永井隆氏の「長崎の鐘」「この子を残して」などを読み、感銘を受けた。
また、隆氏のお嬢さんの茅野さんが、ご自身の娘さんに伝えようと書いた、「娘よ、ここが長崎です」も読んだ。
ここには、茅野さんの目を通して描かれた隆氏の男らしさと優しさが生き生きと表現され、私にはとても魅力的だった。
同時に、原爆がいかに恐ろしくて、決して使ってはいけないものだということが、子どもにもわかるように書かれている。
読む価値のある本だと思う。
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