第44話 ぬくもり

girls talking学童期(東京編)

 ある日、朝ご飯を食べていると、父が母に「おまえ、また、かあさまと衝突しただろう」と言った。父は自分の母親のことを「かあさま」と呼んでいた。

母は心外だというように言い返したが、さらに父が責めるので口論となり、母は、だんだん興奮して泣きながら抗議した。
   

私は緊張と怖さで心臓がどきどきして、ご飯がのどを通らなくなった。

父がその様子を見てか、「もうやめろ、〇〇が学校にいけなくなるだろう?」と言った。

   

 暗く陰鬱な気持ちで家を出た。

足取りも重く、とぼとぼと学校に向かった。

道路には、子どもたちがたくさん歩いていたが、みんな、私のような不幸な思いはしていないのだ、みんな気楽でいいなあ、などと感じながら歩いた。

   

 学校に着いたが、教室からは、みんなのざわざわした声が聞こえてくる。

みんなは私が今朝経験したことを知らない。みんなが知らない重荷を背負っているような、沈んだ気持ちで席に着いた。

   

すると、隣に座っている友だちが、いつもと変わらない明るく穏やかな声で話しかけてきた。

その瞬間に心がすーっと軽くなり、まるで氷が解けていくように、温かさに包まれているように感じたのだ。

私はすぐ元気になり、ニコニコして話し始めた。
   

この時のことが忘れられない。

友だちってこんなに優しいんだ、友だちっていいなあ、と感じた時だった。

   

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