第40話 ままごと

play house 学童期(東京編)

     
 最近の子どもたちのままごと遊びの道具は、プラスティックで、本物そっくりにできた野菜や果物、ハンバーグとかソーセージ、ケーキまでそろっている。
   

 私たちのままごとは、庭にゴザを敷き、周囲のいろいろな草や木から材料を調達したものだ。

青木の赤い実や八つ手の白い花、あかまんま(いぬたで)、笹の葉や柊の葉、菊や椿の葉、

なんの葉っぱか知らないが、肉厚で、ちぎると中からドロッとした液が出てくるものもあった。
   

アオキ
アオキ
ヤツデ
ヤツデ
イヌタデ
イヌタデ

   

 つつじ やサルビアの花をそっと摘んで、その付け根をしゃぶると甘い。

それらはごちそうであった。
   

ツツジ
ツツジ
サルビア
サルビア

   

 あるとき、もっといいものないかなあと友だちと探して歩き、近所のお宅の垣根から、茶色の実を摘んだ。

すると、そのうちのお姉さんが出てきて、「あなたたち、今実を取ったでしょ。」と私たちをとがめた。

一緒にいた友だちは「とってない」とそれを隠した。

私はドキドキしていたが、見つからずに済んだ。

その友だちは、ふだんおとなしい子だったが、その度胸に内心驚いたものだ。

   

後でわかったが、それはお茶の木の実だったのだ。

白いきれいな花が咲く。
   

チャノキ
チャノキ

   

 野の草や木の実を食べるということも、子どもたちの楽しみの一つだった。

関西に住んでいたころは、田んぼの脇の土手などに「スイスイ」と呼ばれる草があり、その茎をポキッと折って皮をむき、噛むと酸っぱい味がした。

正式には「いたどり」という植物らしいが、私たちは酸っぱいので「スイスイ」と呼んでいた。
   

イタドリ
イタドリ

   

 ぐみを食べるのも楽しかった。

特別においしいわけではないが、貴重なものを食べるという感覚があったのだ。

どこどこにぐみがっていると聞くと、そこにみんなで走って行った。
   

グミ
グミ

   

 桑の実は食べたことがなかったが、男の子たちが桑の実を食べた話をして、舌や口の周りが真っ黒になると言っていた。

食べてみたいなあと思った。
   

クワ
クワ

    

 私たちは、手足や口、体全体を使って学んでいったように思うが、今の子どもたちは、ITの情報から学ぶことが多いような気がする。

大丈夫なのかなあ。

   

「レンゲツツジ」には毒成分が含まれているので、食べないでください。
  東京都福祉保健局「間違えやすい有毒植物」
  https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/dokusou/23.html

その他 厚生労働省「有毒植物による食中毒に注意しましょう」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/yuudoku/index.html 
   

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