最近の子どもたちのままごと遊びの道具は、プラスティックで、本物そっくりにできた野菜や果物、ハンバーグとかソーセージ、ケーキまでそろっている。
私たちのままごとは、庭にゴザを敷き、周囲のいろいろな草や木から材料を調達したものだ。
青木の赤い実や八つ手の白い花、あかまんま(いぬたで)、笹の葉や柊の葉、菊や椿の葉、
なんの葉っぱか知らないが、肉厚で、ちぎると中からドロッとした液が出てくるものもあった。
つつじ 注 やサルビアの花をそっと摘んで、その付け根をしゃぶると甘い。
それらはごちそうであった。
あるとき、もっといいものないかなあと友だちと探して歩き、近所のお宅の垣根から、茶色の実を摘んだ。
すると、そのうちのお姉さんが出てきて、「あなたたち、今実を取ったでしょ。」と私たちをとがめた。
一緒にいた友だちは「とってない」とそれを隠した。
私はドキドキしていたが、見つからずに済んだ。
その友だちは、ふだんおとなしい子だったが、その度胸に内心驚いたものだ。
後でわかったが、それはお茶の木の実だったのだ。
白いきれいな花が咲く。
野の草や木の実を食べるということも、子どもたちの楽しみの一つだった。
関西に住んでいたころは、田んぼの脇の土手などに「スイスイ」と呼ばれる草があり、その茎をポキッと折って皮をむき、噛むと酸っぱい味がした。
正式には「いたどり」という植物らしいが、私たちは酸っぱいので「スイスイ」と呼んでいた。
ぐみを食べるのも楽しかった。
特別においしいわけではないが、貴重なものを食べるという感覚があったのだ。
どこどこにぐみが生っていると聞くと、そこにみんなで走って行った。
桑の実は食べたことがなかったが、男の子たちが桑の実を食べた話をして、舌や口の周りが真っ黒になると言っていた。
食べてみたいなあと思った。
私たちは、手足や口、体全体を使って学んでいったように思うが、今の子どもたちは、ITの情報から学ぶことが多いような気がする。
大丈夫なのかなあ。
注 「レンゲツツジ」には毒成分が含まれているので、食べないでください。
東京都福祉保健局「間違えやすい有毒植物」
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/dokusou/23.html
その他 厚生労働省「有毒植物による食中毒に注意しましょう」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/yuudoku/index.html
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