第97話 加山雄三さんのこと

Diffuse reflection 思春期

 
 高校1年のときだったと思う。

友だちが「ちょっと、これ見て」と週刊誌の最後のページを開いて見せてくれた。

「いかすだろう。慶応ボーイだよ」

(女子だけど、こんな話し方をする子だった)

確かに超ハンサムで、さわやかな笑顔の青年が芝生しばふの上に座っている。

   

 加山雄三さんのデビュー当時の写真だった。

父上は二枚目俳優の上原謙さん、母上は小桜こざくら葉子ようこさん。

小桜葉子さんはエリザベス・テーラーのように美しい方で、一時期テレビで、ご自身が考案した美容体操のようなものをしていたことがある。

母がファンで見ていた。

   

 あるとき、ラジオの何という番組か忘れたが加山雄三さんが出ていて、「僕、歌を作ったんですよ」と言って、それを歌った。

英語の歌詞で「I love you, Yes I do But I don’t know how to tell you……」 と。

ちょっとおかしくなってしまったが、メロディーは覚えやすくて感じがいいものだった。

   

ハワイの若大将

   
      
   
 それからしばらくして、「君といつまでも」が大ヒットした。

初めて作ったと言ってろうした歌と、メロディーラインがそっくりだったが、私は、あのラジオで聞いた歌の方が好きだなあと思っていた。

しかし、「君といつまでも」の陰に隠れて、あまり世に知られていなかったようだった。

   

 大学生になってから、スキー場で「恋はあかいバラ」という歌が流れるのを聞き、「あ、あの歌じゃない!」と感動した。

「恋は紅いバラ」という名で世に出ていたのだ。

これこれ、これだよね。
   

でも、ラジオで聞いたときは全部英語の歌詞だったと思うが、「恋は紅いバラ」として仕上がっている歌は、一部英語で、ほとんどが日本語の歌詞になっていた。

あのラジオを聞いた人いないかなあ。 
   

注 「DEDICATED」  作詞 弾 厚作(加山雄三ペンネーム)学生時代に作った曲
   

DEDICATED to KAYAMA YUZO(メガジャケ付)

   

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