早口言葉
子どもの頃から早口だった。
早口言葉が大好きで、「これ言える?」と聞いて
「東京特許許可局許可する局長」
「青巻紙赤巻紙長巻紙黄巻紙」
「親亀子亀子孫亀」
などを得意になって、まくしたてたものだ。
中学生のとき、国語の時間に教科書の一部を音読するよう指名された。
これって何のためにするのか、意味ないよな、というムカつきも手伝って超特急で読んだ。
読み終わって着席すると、隣の友だちに
「あなた、すごく早かったわよ。この辺なんか、なに言ってるのか、わからなかった」
とささやかれた。
映画「芽ばえ」
高校2年のとき、四国にいる母の友人の息子さんが大学受験のために上京した。
うちに来て話をしているとき「『芽ばえ』っていう映画見たことある?」と聞かれた。
「見てない」と言うと、「それに出てくる女の子に(私が)似てる」というのだ。
へえ、その子は可愛い女の子なのかな、と思っていると「早口で喋るの」と言った。(そこか!)
彼は残念ながら不合格で、合否を確認して連絡するのを頼まれていた母は、「なんて電報する?」と困っていた。
「サクラサク」とか「サクラチル」とかの決まり文句は、あまり使いたくなかったらしい。
そこで「ザンネンデシタ」と打ったらしい。
それからしばらくして、当時、人気のあった映画をリバイバル上映する東急名画座(東急文化会館の中にあった)で「芽ばえ」を見た。
ジャクリーヌ・ササールのデビュー映画だ。
新鮮なジャクリーヌ・ササールの魅力がいっぱいだった。
わがままで自分中心に振る舞うけれど、率直で可愛くて、確かに早口で喋る。

初恋相手の男の子と、ピサの斜塔に遊びに行く。
「私を呼んで」と言って、斜塔のあちこちに隠れる。
男の子は「グェンダリーナ」と優しく呼びかけたり、「グェンダリーナ!」と驚いたように声を上げたり、いろいろな表情をつけて呼ぶのだ。
なんて可愛いシーンなんだろうと感動した。
ちなみに、かの息子さんは一年浪人して、翌年めでたく志望大学に合格した。
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