高校では、同じ中学から来た友だちと、別の中学から来た友だちが混ざっていた。
隣のクラスの女の子から、こんな話を聞いた。
彼女のクラスに私と同じ中学だった子がいて、
その子に「○○さん、知ってる?」と私のことを聞いたら、
「知ってる。私、あの人大嫌い。あの人むっつりすけべえなのよ」と言ったそうだ。
むっつりすけべえ? 私が?
それは、中年オヤジに対して使う言葉だと思っていたので、びっくりした。
しかも、それを言った人は、男子に人気のあるかわいい女の子として有名だった。
その口からそんな言葉が出るとは!
しかし、どうしてそんなことを言われたんだろう?
考えてみると、私は興味のある物や人を、じっと見てしまう癖がある。
特に、人を観察することが好きだ。
失礼なことだし、見られる側からすれば、とても不愉快なことだとわかっているが、つい見とれてしまうのだ。
私のことを大嫌いだと言った女の子が、男子にモテると評判だったので、バス停などで一緒になると、じっと見つめることがあったと思う。
「男子に持てるのは、どの部分なのかなあ」と思いながら。
それがとても嫌だったのだろう。
むっつりすけべえと言われても、しかたがないと思う。
見るだけでなく、声が聴きたいというのもあった。
1級上に、歌がとても上手で音楽会で独唱するような人がいた。
その人は話し声もとてもきれいで、それが聞きたくて学校への道が一緒になると、できるだけ近くによって声を聞こうとした。
こうしてみると、ちょっと変人に見えたかもしれない。
このような傾向は今でも残っているような気がする。
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