思い返してみると、2年余り前に心臓の手術を受け、間もなく東京から東北の山村に移住。
テレビでは、連日コロナの感染状況が伝えられていた頃だ。
心臓手術後のフォローとして地元で一番大きい病院を紹介され、連絡すると
「他県からの患者さんには、まずPCR検査を受けていただきます」
高速道路には、
「感染拡大地域との往来は自粛しましょう」の横断幕が。
そうか、地方は首都圏からの来訪者をかなり警戒してるな、と実感。
そして受診すると……
ワクチンは打ったの?
(だいぶ前に保健所から案内が来ていたが、放っておいた。なんかいやだなあと思ったので)
いいえ、まだです。副反応が怖いので……
副反応のリスクと感染のリスクを天秤にかけたら、感染のリスクの方がずっと大きいよ
村から接種日の連絡がないので……
と逃げておいた。そして次の診察日……
ワクチンは打ったの?
まだ連絡がないんです
おかしいな、電話して確認したら?
いろいろ考えた。
村ではほとんどすべての人が接種を済ませているようだった。
ここで接種していないことを知られると、どうなるか?
万一感染したら、なんと言われるだろう。
しかも、近くにお住いの90歳を超えるお年寄りにうつしてしまったら……と考えると、迷いが生じた。
テレビでは重症患者さんの様子が伝えられたりして、恐怖心が湧いた。
特に人工呼吸器は手術のときとても苦痛だったので、二度とつけたくないと思っていた。
高齢者は重症化しやすくワクチンは重症化を防ぐ、ともっともらしく伝えられていたことにも影響され、
迷った挙句、保健所に電話。
「ワクチン接種の最終回だから、この日に絶対受けてください」と言われ、
ついにワクチンを打った。
2021年9月のことである。
後編へつづく……
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