7月に、山形県の月山に登り、雪渓でスキーの練習をする、という合宿が行われた。
スキー技術は、まだよちよち歩きの女子5人(同期の女子は5人残った)も行かされた。
夜行で上野を出発し、山形に向かった。
当時、大学の体育会の合宿は、だいたい夜行で出発するのが習わしだった。
他の大学とも一緒になるので、席をとるために早くから並ぶ。
並ぶのは1年生の役目だったが、女子は免除された。
「やまがた~やまがた~」
早朝の山形駅に着く。
そこから乗り換えて間沢へ。
さらに童話の中に出てくるような列車で岩根沢へ。
岩根沢からは、営林署の軽トラックとワゴン車に分乗して、登山口へ向かう。
私たち女子は、本格的な登山は初めてだった。
米7キロも入った重いザックの上に、スキーを横に渡して括り付け、全部で25キロくらいの荷物を背負って、いよいよ山登り開始。
先頭は、2年生の男子の一人が指名された。
「つぎ、おんなのご!」とキャプテン。
キャプテンは仙台の人で、お国言葉をそのまま話す人だった。
「つぎ、1年男子! あとはバカ!」
バカとは、40キロ以上の荷物を背負って上がる男子部員のことだ。
初めの一歩から、腰がズキっと痛い。
他の女の子も痛いと言ったので、痛いのが当たり前なのかと思った。
ヒーヒーハーハー、歩きつつ、足元に可愛いスミレが咲いているのを見つけた。
山路来て 何やらゆかし すみれ草
芭蕉っていいなあ。
「沢の音が聞こえるぞー」と男子が言う。
耳を澄ますと、サラサラという涼やかな音が聞こえた。
川辺に着いた。そこで昼ご飯。
しゃがんだまま、うたたねした。
登山は続く。
難行苦行の末、左右から覆いかぶさってくる木の葉をかき分けて進むと、突然開けたその眼前に、小屋が見えた。
感動!
私たちの宿舎となる営林署の小屋だ。
ここで、10日間ほどの合宿が始まる。
この合宿で、貴重な体験がさまざまあった。それは次に書きます。
to be continued……
磐梯朝日国立公園 月山ビジターセンター「登山トレッキングコース」
https://gassan.jp/gassan-info/tozan/
コメント