中学生になると、
ほとんどの女の子は男の子を、
男の子は女の子を気にするようになる。
もっとも、小学生の頃からそれは始まっているのだけれど、それが心を支配する割合が、ぐっと増えるのだと思う。
興味があることの表出として、
女の子は遠くからじっと見つめる
目があうと、あわてて伏せる
といった感じだ。
休み時間になると、女の子同士で集まって男の子の話をしたものだ。
「〇〇君がかわいい」とか
「〇〇君って親切よ。今日バスで、あたしのカバン持ってくれたもん」
と、あたかもその子が自分に気があるかのように話す子がいると、
「あら、あたしだって持ってもらったことあるわよ」と言う子がいたり。
男の子はどうかと言うと、
例えば習字の時間に離れた席からわざわざやってきて「ちょっと墨貸して」などと借りて行ったり、
休み時間に家の場所を聞きに来たりした。
といっても私のところに来たのではなく、私の隣の席に座っていた女の子のところに来たのだけれど。
掃除の時間に、叩きの先で、スカートをひょいとめくるようないたずらをする子もいた。
そういえば……
小学生のとき、クラスに女の子が転校してきた。
おとなしくて、か弱そうな女の子だった。
男の子たちは、しきりとその女の子の近くにやってきては、その子の持ち物を手に取って、ふざけたりしてからかった。
ある日、その転校生と一緒に学校からの帰り道を歩いていると、男の子たちが通せんぼをした。
私はこの女の子を守らなければと思って、「なによ! いじめるのはやめなさいよ!」と恫喝した。
すると、一人の男の子が
「おまえは可愛くないんだよ。〇〇さんが可愛いんだよ、なあ?」
と他の男の子たちに同意を求めた。
そうだったのか。
そのときの愕然とした気持ちが忘れられない。
可愛くなくてごめんなさい。
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