第74話 男の子が女の子にちょっかいを出すのは……

Unrequited love 思春期

   
 中学生になると、

ほとんどの女の子は男の子を、

男の子は女の子を気にするようになる。
   

もっとも、小学生の頃からそれは始まっているのだけれど、それが心を支配する割合が、ぐっと増えるのだと思う。

   

 興味があることの表出として、

女の子は遠くからじっと見つめる

目があうと、あわててせる

といった感じだ。
   

休み時間になると、女の子同士で集まって男の子の話をしたものだ。

「〇〇君がかわいい」とか

「〇〇君って親切よ。今日バスで、あたしのカバン持ってくれたもん」

と、あたかもその子が自分に気があるかのように話す子がいると、

「あら、あたしだって持ってもらったことあるわよ」と言う子がいたり。
   

   

 男の子はどうかと言うと、

例えば習字の時間に離れた席からわざわざやってきて「ちょっと墨貸して」などと借りて行ったり、

休み時間に家の場所を聞きに来たりした。
   

といっても私のところに来たのではなく、私の隣の席に座っていた女の子のところに来たのだけれど。
   

掃除の時間に、(はた)きの先で、スカートをひょいとめくるようないたずらをする子もいた。

   

 そういえば……

小学生のとき、クラスに女の子が転校してきた。

おとなしくて、か弱そうな女の子だった。
   

 男の子たちは、しきりとその女の子の近くにやってきては、その子の持ち物を手に取って、ふざけたりしてからかった。

   

 ある日、その転校生と一緒に学校からの帰り道を歩いていると、男の子たちが通せんぼをした。
   

私はこの女の子を守らなければと思って、「なによ! いじめるのはやめなさいよ!」と恫喝どうかつした。

   

怒る女の子

   

すると、一人の男の子が

「おまえは可愛くないんだよ。〇〇さんが可愛いんだよ、なあ?」

と他の男の子たちに同意を求めた。

   

 そうだったのか。

そのときの愕然がくぜんとした気持ちが忘れられない。

可愛くなくてごめんなさい。

   
   

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