心臓の手術後は、切った肋骨を固定するため胸にコルセットをしていた。
一般的には肋骨の真ん中を縦に一直線に切るらしいが、私の場合は左側の下半分を縦横に切ったとのことだった。
これは1か月ほどで外した。
しかし胸を無防備な状態にするのが怖くて、下着を後ろ前に着たりして胸の部分を保護するようにしていた。
寝るときも、パジャマだけでは心もとなく必ず下着をつけていた。
2か月、3か月と過ぎて、もう4か月以上になる。
だんだん大胆になり、下着も普通につけパジャマは素肌に直接着るようになった。
私にしては、ずいぶん肋骨を大事にしてきたわけだ。
昨夜、お風呂に入ったときのこと。
石鹸で体を洗った後、シャワーで流すだけでは、ちょっと物足りない。
湯船に満々とあるお湯を洗面器ですくって、ザーッとかけたくなった。
一回目は、うまくいった。
やっぱりこれがお風呂の醍醐味だよね、と。
考え事をしながら、2回目を実行しようとした。
洗面器でお湯を汲もうとして、持ち上げきれずにそのままスッテンと転び、あばら骨を湯船のふちに打ちつけてしまった。
「イテー!」
瞬間、息が止まるかと思った。なんてこった。
あんなに大事にしてきた私の肋骨。
これじゃ元も子もないよ、とがっくり。
そもそも湯船のお湯を汲むための柄杓ではなく、いわゆる洗面器だから、それを両手で持って身をかがめて汲み上げるのに、想定以上の筋力とバランスが必要だったのだ。
たかが洗面器一杯のお湯が、自分が思ったより重かった。
そしてバランスを崩した。
思った以上に筋力が衰えている。
すっかり元気をなくしてしまった。
大丈夫かなあ、私の肋骨。
今、大きく息を吸ったり、咳をしたり、トイレでいきんだりすると、痛みが走る。
大事に至らなければいいと思っているところです。
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