10年余り前になる。
夫から、「定年になったら移住して、自給自足の生活をする」という話を聞いた。
東京の近県に、別荘を持っている友人が何人かいる。
中には、東京の家を処分して、別荘地に居を移した人もいる。
共通しているのは、
御主人方がそろって畑で熱心に野菜を作っているということ。
男の人はサラリーマン生活から解放されると、だいたい畑をやりたいものなのかなあと思った。
そのころ住んでいた安普請の建売住宅から脱出したい気持ちはあったものの、
辺鄙なところに行くのは二の足を踏んだ。
インフラがしっかりしていて
公共の交通機関が使え、
車を少し走らせれば大きなスーパーがあるようなところがいいと思っていた。
うちの場合は、東京に家を残したまま田舎に家を建てるほど、経済的余裕はない。
東京に住むところがなくなる、というのも不安だった。
私としては、田舎暮らしはまんざらでもないが、東京から完全に離れてしまうことには決心がつかない。
夫の言うことも少々荒唐無稽に思えたので、話半分に聞いていたところも正直あった。
しかし、夫の方は着々と準備を進めていたようなのだ。
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