スキー部は初め、同好会だった。
先輩たちは、ぜひ部に昇格させたいと考えていたようだ。
男子は、体育会の正式な部の部員になりたいと思うだろうし、予算もたくさんもらえる。
私たち女子には、どうでもいいことだったが。
部として認めてもらうには競技をして試合をし、そこで実績を上げる必要がある。
そういうわけで私たちよちよち女子も、思ってもみなかった競技スキーをさせられることになった。
えー?! 無理でしょ。
同期の女子は「同好会でいいのにねえ」「ただスキーを上手に滑れるようになりたいだけなのに」と不満だったが、
先輩女子は「ゲレンデでただ滑ってるだけじゃ、目的がなくてつまらないでしょ」と。
そうかなあ。
しかたなく、1年目の冬の合宿からポールをくぐる練習などが始まった。
ポールをくぐってみると、意外に面白い。
いわゆるアルペン種目の回転だ。
ポールのセットにもいろいろなパターンがあり、それを覚えさせられたり、
学年が上がるにしたがって、自分たちでポールをセットして練習することもあった。
女子も、簡単なコースだけど、いっちょまえに、回転、大回転、滑降をやり、いくつかの大学と試合もした。
大回転、滑降ではヘルメットをかぶった。
こういうことが、だんだん面白くなった。
急斜面が怖くなくなった。
先輩が言った通り、目的があったほうが、モチベーションがあがり、楽しいことがわかった。
また、体育会主催のマラソン大会があり、ここでも実績をあげる必要があった。
長距離走は大の苦手だった私が、2年生のときのマラソン大会で4位になった。
これは自分としては快挙だった。
そして、めでたく、スキー同好会はスキー部に昇格した。
あんなに部活がチャランポランだった私が、熱心にスキー部を続けていることに、高校時代の友だちが驚いていた。
「まだ続けてるの?よく続くわねえ」と会うたびに言われたものだ。
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